初級クラスで目指すこと
☆中級以降の学習に必要な基礎力をつける
・初級クラスの中にも様々な学生がいる :学習歴なし・ひらがなカタカナ程度・数年間独学・国の日本語学校で数か月学習・大学で日本語専攻
・初級クラスの学生に求められること :目指すのは「読んで問題を解き、選択肢から正解を選ぶことができる」ことではなく、持っている知識の運用力を四技能すべてにおいて高めること。「頭でわかる」だけでは不十分。目指すのは、「読む(音読)」「聞く」→理解→「話す」「書く」
・教師は自然なスピードで、はっきり発話する。
・教師は語彙をコントロールしながら、「ですます体」できちんと話す。
・初級であっても、不自然な日本語は極力使用しないようにする。
☆口と耳で日本語を習得する
・教師の発話を繰り返しまねることによって、日本語のリズムや発音を体得する。
・音読の機会を多くする。
・練習問題は文全体を声に出して答え、クラス全体でのコーラスを行う。
☆正確に表記する
・教師はひらがなカタカナの字形、濁点の打ち方、まちがえやすい漢字、句読点などを厳しくチェックする。
・質問に対する答えなど、文末の重要性を意識する。
教師が心掛けたいこと
まず、学生との信頼関係を作ってください。言葉は十分に通じなくても、先生が学生に投げかける「気持ち」は伝わります。学生にも先生にも個性があります。それぞれの個性で教室の人間関係が形成されていきます。そしてその人間関係がその後のクラス運営の「かぎ」になるはずです。
教科書や教案ではなく、とにかく学生を見てください。学生は何を理解し、どこに躓いているのでしょうか。今何を考え、先生に何を言いたいと思っているのでしょうか。そのような時間を積み重ねていくことによって、学生は「初級」をマスターし、自信をもって中級へ進んでいくはずです。
Can-doを使用したひのきの初級指導
●Can-doとは言語の熟達の、ある段階でできる言語活動や持っている言語能力の例を「~できる」という形式で示した文です。
●Can-doにより、日本語の熟達度を客観的に把握したり、学習の目標を具体的に示したりできます。さらに熟達度や目標を他の人や他の機関と共有することができます。
本校ではオリジナルのCan-doを考え、使える日本語が話せる!ことを目標に指導しています。学生は自己評価で達成度に合わせて、Can-doシートの「☆」を塗ります。
『みんなの日本語』10課のCando3は、「教員室に座っている先生を探すことができる。」です。用事があるときに、まず教員室で先生をさがします。(敬語は未習です)
学生:すみません。△△クラスの○○○(名前)です。
受付:はい。どうしましたか。
受付:校長先生の隣にいますよ。
といった会話を学生同士で作ります。十分に練習したあと、2,3人のグループに分かれ、実際に教員室に行って□□先生を探すというミッション行います。□□先生のことを知らない場合は先生にあいさつしたり、何か質問をしたりします。
このように学校の中では担当教員だけが学生と関わるのではなく、学校全体で学生と関わることで、相談しやすいアットホームな環境を作ることが出来ます。
また学校の外でも日本語を使ってみよう!日本語が話せた!通じた!という体験を積み重ねて、試験のためだけではない自ら考え行動できるようになることを目標に指導しています。

