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新宿御苑の寒桜 風景式庭園の名作の春

都会のオアシスとして親しまれている新宿御苑。広さ58.3ha、周囲3.5km。その敷地は、1590(天正18)年に豊臣秀吉から関八州を与えられた徳川家康が江戸城に入城した際、譜代の家臣であった内藤清成に授けた江戸屋敷の一部です。
 新宿御苑が誕生したのは1906(明治39)年のことです。皇室の庭園として造られましたが、戦後、国民公園となり、多くの方に親しまれてきました。
 
 昨年の38日、卒業式前のクラス別の校外学習の訪問先に、新宿御苑を選びました。早咲きの桜を、学生に見せられたらいいなと思ったのです。
 千駄ヶ谷駅前で集合。5分ほど歩くと、千駄ヶ谷門が見えてきます。中に足を踏み入れました。その瞬間の開放感。感動的でした。
 大ぶりで伸びやかな木立と木立。その間の芝生の、すばらしい広がり。新宿御苑は、数少ないわが国の風景式庭園の名作なのです。学生たちの表情は、駅で集合したときと全く違いました。一瞬にして晴れやかなものに変化しました。
 
 途中、御凉亭に立ち寄ってみました。中国南方地方(福建省)の建築様式(ビンナン建築)を取り入れた、国内においても希少な本格的中国風建築です。薄暗い室内。そこから遠くに、春の陽ざしを受けた、日本庭園。ヤエベニシダレ(八重紅枝垂)が満開でした。淡紅色の八重咲きの花。御凉亭の大きな窓枠が、まるで絵画の額縁のように、遠景を切り取っています。思い思いに、しばらく眺めていました。
 そして、みんなで花のもとへと歩いて行きました。陽ざしが眩しかったです。たくさんのカメラマンが集まっていました。向こうには、新宿の高層ビル群。
 
 そこから今度は、池に沿って東に進んで行きました。すると、水辺に一本のシュゼンジカンザクラ(修善寺寒桜)。遠くの橋から、しばらく瀟洒な眺めを楽しみました。そして、近づいて観たときの姿。格別でした。水のすぐ近くまで伸びた幾本もの枝と、その枝に咲く可憐な花々を通して、輝く水面が見えたのです。繊細で静かな、日本の初春に出会うことができました。
 
 そのあと、水辺を離れて、広々とした風景式庭園を訪れました。みんなで芝生に腰を下ろして、青空を眺めました。卒業前のひとときを過ごしたのです。
 
 新宿御苑は、東京で最も好きな場所の一つです。細やかな季節感と、開放感。自分の育った、武蔵野の風景に通じるものがあります。(織田)
 

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by hinokigaigo | 2020-01-05 14:30 | 日本人と文化