大学院進学クラスのエッセイ集が完成しました

 大学院進学クラスには、4月から6月まで、エッセイのための作文を書く時間が毎週あります。自分の専門分野について、教師という他者からの質問に答えて200字程度の文章を書いてきました。例えば、ネットライブの研究をしている学生には、こんな質問をしました。

・あなたが今までで一番感動したネットライブは、どのようなものでしたか? どこに感動しましたか?

Ustream、ニコニコ生放送といったライブ中継ができるサービスのなかで、あなたが注目しているサービスは何ですか? どうして注目していますか?

 

この作文をもとに、夏休みの宿題としてエッセイの執筆に取り組みました。57段落で、量は1200字程度です。そして919日に、完成したエッセイ集を学生に配布しました。

 

この授業のヒントを与えてくれたのは、『わたしを語ることばを求めて 表現することへの希望』(三省堂)という本です。この本には、日本語教育研究者・細川英雄と牲川波都季と14名の生徒が登場します。自分が関心を持った対象と自分との関係を、「わたしのことば」で語っていく実践のドキュメントです。

大学院クラスの学生で学ぶ学生は、学部時代と専門が同じ学生ばかりではありません。専門をどうするか、何をテーマにするか悪戦苦闘する学生がほとんどです。問題意識が弱ければ、概説書を読んでもどこに線を引いていいかわかりません。青年期をかけてやっていくテーマを定めることができない学生の背中を、少しでも後押ししたいという気持ちで、この授業を始めました。

 

17Aクラスでは、14人がエッセイ集のための原稿を提出しました。以下は、そのタイトルです。

 

 メディア学とわたし/日本語教育学とわたし/画像処理とわたし/土木工学とわたし

 教育学とわたし/留学とわたし/ 国際政治学とわたし/ロボット工学とわたし

 法律学とわたし/金融学とわたし/経済学とわたし/広告学とわたし

 情報工学とわたし/経済学とわたし

 

エッセイには、まずその専門分野や研究対象との出会いが綴られます。大学時代のことを書く学生が多いですが、なかには3歳のころの思い出を綴る学生もいます。

次に、それぞれの研究について述べられます。現在の問題意識と、自分の立てた仮説、大学院での研究テーマについて述べられていて、高度な内容を含んでいます。

最後に、その専門分野で大切にすべきだと思うことと、これからの姿が述べられます。広い視野で、専門分野のこれからの課題と方向性について思考していて、読みごたえがあります。

 

 エッセイを配布した日に、「エッセイを書いて」というテーマで感想文を書いてもらいました。次のような感想がありました。

・研究活動を振り返ることで、自分の考えが整理されるとともに、意識していなかったことに気づくことができた。

・一緒に日本語を学んでいるのに、分野が全員違うのは不思議だ。大学院を目指して、友だちとさまざまな話題について話すことはとても楽しい。

 

このエッセイのもとになる作文を書いていたのでは、4月から6月のことです。研究テーマや考えが変わった学生は少なくありません。それでいいのだと思います。文章を書くことは、そのときの自分と世界を見つめて、思い切って決断して「形」にして表に出すこと。この経験を足場に、前へ進んでいってくれたらうれしいです。  (織田)
 


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by hinokigaigo | 2017-10-05 15:27 | ある日のできごと