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大学院進学クラス

 このクラスは、4年制大学卒、N2以上、大学院クラスを希望する学生のクラスである。大学院進学という目標を達成するために、以下の授業を行う。

 

メインテキスト

 大学院は、専門知識だけでは合格しない。高度な日本語力が必要である。文献を読みこなすための読解力、研究計画書を執筆するための文章力、大学院の授業についていくための聴解力、大学院の面接で研究計画を発表するための発話力を養う。『「大学生」になるための日本語①・②』、『上級日本語教科書 文化へのまなざし』を使用する。

 

能力試験対策・留学試験対策

 日本語能力試験(N1)、留学試験の得点が出願の要件となっている大学院(研究生)が増えている。能力試験・留学試験が必要な大学院が受験校になることは、大いに考えられる。

 能力試験の第1回(7月実施)には合格するとは限らない。また、留学試験が必須の大学院もある。そこで、この2つの試験の対策授業を行い、N1取得、留学試験300点以上を目指す。

 なお、この対策授業は、大学院に合格するための読解力、文章力、聴解力を鍛えるためにも、非常に重要な授業である。研究計画書を書けても、留学試験の聴解・聴読解ができなければ、大学院の授業についていけない。また、留学試験の記述は、研究計画書の執筆の際、役に立つ。

 

小論文対策

 大学院に合格するには、論理的な文章を書く力が必要である。研究計画書を執筆する必要があるとともに、入学試験で小論文が課されることもあるからである。

 論理的な文章を書くために大切なのは、適切な段落構成と段落内構成で書く習慣を身につけることである。そこで、過去の入学試験で出題された小論文の問題に取り組む。

 自分の意見を述べることはもちろん大切だが、それで終わってはならない。その意見に予想される反論を述べ、その反論を否定することによって客観性を高める必要がある。抽象的だったり一般論すぎたりしないように、自分の経験なども述べて、具体的にすることも重要である。

 

読書感想文・エッセイ

 大学院をめざそうとしている多くの人がつまずくのは、研究テーマの絞り込みのプロセスである。いろいろなことに関心があるが、問題関心から問題意識への絞り込みが不足していることが多い。

 問題関心を問題意識化し、さらに研究計画へと膨らませていくためには、自分の経験を相対化させていくことが必要である。人間の思考は、決して個人の中で閉ざされたものではなく、常に自分以外の他者とのインターアクションの中で醸成されるものだからである。

 そこで、新しい時代の価値を生み出そうと懸命に生きてきた文化人の言葉を読み、先人と対話しながら自らの考えを文章にする読書感想文、自分の研究テーマについて教師という他者からの質問に答えて執筆するエッセイに取り組む。

 これにより、研究テーマの設定に苦労している学生は、なぜそのテーマで研究するのか自覚し、一つの問題意識へと自分の考えを絞り込んでいくことができる。また、難関大学院を目指す学生の場合は、他分野とのインターアクションの機会を得ることができ、もう一段階上の自分の立場を形成することができる。

 

研究計画作成法・個人研究

 大学院の教授は、研究計画書を見て、その学生に大学院で研究する能力があるかどうかを判断する。

 そこで、学生支援機構の『実践研究計画作成法』、伊丹敬之の『創造的論文の書き方』、工藤美知尋の『研究計画書の書き方―理論と実践―』などを用いて、研究計画書作成の技法を身につける。この授業では、研究計画書作成のノウハウを学ぶだけでなく、ノウハウを学んだときに課題シートに取り組み文章を綴ることで、研究につながる気づきを得ることを目指している。

 また、週に1時間、個人研究の時間を設ける。この時間には、進路指導を担当する担任が個人指導を行う。研究の進め方について、受験校について、指導教授へのアプローチについて、具体的なアドバイスを受けることができる。

 

研究発表

 大学院を志望する学生は、事前に研究室訪問をする必要がある。その際、自らの研究について、口頭で発表することが求められる。

 また、大学院の受験では、必ず面接(口頭試問)がある。とくに、美術系の大学院入試では、作品についてプレゼンテーションすることを求められることがある。

 そこで、授業内で研究発表の時間を取り、口頭発表の技術を身につける。
 


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by hinokigaigo | 2017-08-17 11:21 | ひのきの教育